「ロケットの会社」では、
もう測れない。
スペースXとは何者か。
スペースX(ティッカー SPCX)は、再使用ロケットと衛星インターネット(Starlink)で宇宙ビジネスを切りひらく米企業。2026年6月12日にNasdaqへ上場したばかりの“いちばん新しい中身”です(史上最大のIPO・調達 約750億ドル)。全世界株式(オルカン)には2026年6月29日付の早期組入で、ごく小さく入り始めた段階。ただしGAAP(米国会計)では赤字のためPERは出せず、成長とStarlinkの伸びで読みます。これは番外編——むずかしく感じても大丈夫、順番にほどきます。
数値の基準時点:2026年6月下旬(決算=FY2025/2025年12月期、株価=上場後の概算)。数値は報道・目論見書(S-1)引用などの二次情報に基づく概算で、SEC原本は未取得です。上場直後で値動き・指標が大きく動くため、必ず最新の一次情報をご確認ください。出所:各種報道・各金融情報サイト。
- 01スペースXは民間宇宙・衛星通信のリーダー。2026年6月12日にNasdaqへ上場(史上最大のIPO・調達約750億ドル)。オルカン(MSCI ACWI)には2026年6月29日付の早期組入でごく小さく入り始めた“いちばん新しい中身”です。
- 02FY2025は売上187億ドル(+33%)。柱はStarlink(契約約1,030万件)。ただしGAAPでは純損失 約−49億ドル(xAI連結後のTTMは約−94億ドル)で、PERは算出できません。
- 03見方の注意:黒字メガテックとPERで横並び比較はできない。代わりにPSR約105倍・Starlink契約者の伸び・再使用ロケットの堀を見る。赤字・高PSR・FCFマイナス・Musk依存がリスクです。
ロケット屋が、
宇宙インフラの会社になった。
スペースXは、もともとロケットを安く打ち上げる会社でした。第1段を着陸させて再使用する技術でコストを劇的に下げ、そのロケットで自社の通信衛星(Starlink)を大量に配備。いまや「宇宙への足」と「宇宙からの通信」を一体で握る、世界で最も価値の高い未上場だった会社が、ついに上場しました。
ポイントは、スペースXが売るのは「ロケット」単体ではなく宇宙へのアクセスと、宇宙からの通信を“まとめて”握る垂直統合だということ。ロケット・衛星・地上の端末まで、ぜんぶ自社で作っています。
創業
イーロン・マスクが創業。火星移住を最終目標に掲げ、ロケットの打ち上げコストを下げることに集中しました。
初の軌道到達 → NASA契約
小型ロケット「Falcon 1」で民間初の液体燃料ロケット軌道到達。倒産寸前でNASAの大型契約を獲得し、息を吹き返します。
ロケットの再使用に成功
Falcon 9の第1段の着陸・回収に成功。「使い捨て」が常識だったロケットを再使用し、コスト革命が始まりました。
Starlinkの配備開始
自社ロケットで低軌道の通信衛星を大量に打ち上げ。衛星インターネットという新しい収益源を立ち上げます。
民間初の有人飛行
Crew Dragonで民間初の有人軌道飛行を実現。NASAの宇宙飛行士をISSへ運ぶ“足”になりました。
Nasdaqへ上場(史上最大IPO)
2026年6月12日に上場。時価総額 約2.0兆ドル・調達 約750億ドルの史上最大級IPO。オルカンにも入り始めた“いちばん新しい中身”です。
稼ぎ頭はStarlink。ロケットとAIが脇を固める。
スペースXの売上は、いまや衛星通信(Starlink)が中心。そのStarlinkを支えるのが再使用ロケットで、2026年からはAI(xAI)も連結されました。3本柱ですが、利益構造は大きく異なります。
Starlink(衛星通信)
低軌道の衛星でインターネットを届ける主力事業。契約 約1,030万件・ARPU 約66ドル/月。部門はすでに黒字で、全体売上の約6割を占めます。
打ち上げ(Falcon 9/Heavy)
再使用ロケットによる打ち上げ。コストの安さで世界の打ち上げの約半分、2025年は約170回打ち上げ。NASA・商業衛星・政府向けの“足”を一手に握ります。
Starship(次世代ロケット)
超大型で“完全再使用”を狙う次世代機。まだ開発段階ですが、Starlinkの大量配備や月・火星輸送の鍵。コスト目標(1kgあたり)はマスク氏の見立て=推定です。
AI(xAI・X)
2026年2月にAI企業xAI(とX)を連結。売上に乗りますが部門は大幅赤字で、いまは“投資フェーズ”。全社が赤字になる主因にもなっています。
※ スペースXは設計・製造・打ち上げ・衛星・端末までを自社一貫(垂直統合)で行います。設計だけして製造を外注する「ファブレス」とは逆の発想で、これがコストと速さの源泉です。
どこで稼ぎ、どこが赤字を生んでいるか。
売上の構成を見ると、Starlinkへの集中がはっきり分かります。一方で、伸びを支えるロケットは黒字、新領域のAI(xAI)は赤字——と、部門ごとに色がまったく違うのが特徴です。
事業別売上の構成
2025年/事業別売上の概算・億ドル※ 概算イメージ。Starlinkが約6割(約114億ドル)で部門は黒字。打ち上げが約22%。AI(xAI)は約17%だが、部門としては大幅な営業赤字で、全社の損失を押し広げています。
3つの役割で読み解く
「成長レンズ」では、配当より伸びと持続性、そして黒字化の道筋を見ます。3分類で整理します。
主力
黒字の柱売上の約6割。部門はすでに黒字(EBITDAマージン約63%=推定)。契約数は1年で約2倍に増え、成長の中心です。
土台
世界の約半分創業以来の本業。再使用で打ち上げコストを劇的に下げ、世界の打ち上げの約半分。2025年は約170回打ち上げと、宇宙への“足”を独占しています。
新領域
次の賭け完全再使用のStarshipは開発段階。xAIは2026年2月に連結したが大幅赤字で、いまは先行投資のフェーズ。長期の伸びしろであり、同時に赤字の主因です。
Starlink一極集中の強さと、赤字というもろさ
Starlinkという黒字の柱がある一方、Starship開発とxAIへの巨額投資で全社はまだ赤字。「伸びてはいるが、まだ稼げていない」典型的な成長フェーズの会社です。
だからこそ、黒字のメガテックと同じものさし(PER)では測れません。伸びと黒字化の道筋を見るのがコツです。
出所:各種報道・目論見書(S-1)引用などの二次情報(2026年6月時点)。構成比・部門損益は概算・推定で、四半期ごとに変動します。
売上は3年で約8割増。ただし、まだ赤字。
成長株では「いくら稼いだか」よりどれだけ速く伸びているかを見ます。FY2025(2025年12月期)は売上が大きく伸びた一方、GAAPでは赤字。両方を正直に並べます。
売上高の推移
単位:億ドル / 年次(12月期)FY2023の104億ドルから3年で約8割増、FY2025は187億ドル(+33%)。伸びの中心はStarlink。ただしFY2026は会計がxAI連結で大きく変わるため、来期予想は不確実として示しません。
「伸びてはいるが、まだ赤字」
SpaceXは高成長ですが、GAAPでは純損失 約−49億ドル・営業損失 約−26億ドル。一方で現金を生む力を示す調整後EBITDAは+66億ドルと黒字。Starlink部門は黒字でも、Starship開発とxAI投資が全体を赤字にしています。
黒字メガテックとPERで横並び比較はできない——まずここを押さえます。
会計が変わった(xAI連結)
AI(xAI)の大きな赤字も含め、FY2025のGAAP純損失は約−49億ドル(1株あたり約−0.4ドル)。直近のTTM(〜2026年3月)はQ1の大型損失が加わり純損失は約−94億ドルに膨らみました(FY2025の数字にもxAIは遡及的に含まれます)。GAAPと調整後EBITDAで見え方が大きく変わる点に注意です。
本ページの数値は報道・S-1引用の二次情報に基づく概算です。最新の一次情報をご確認ください。
出所:各種報道・目論見書(S-1)引用(二次情報。SEC原本は未取得)。金額は概算・ドル建てで、会計基準で見え方が変わります。
上場直後。見るべきは「初の本決算」。
米国企業は「来四半期の見通し(ガイダンス)」を出しますが、スペースXは上場したばかりで正式な四半期ガイダンスはこれから。当面の焦点は、成長エンジンであるStarlinkの伸びと、上場後はじめての本決算です。
上場直後の見通しを読む3つの注記
① ガイダンスは未確立。上場したてで、まずは初の四半期本決算の中身が試金石になります。
② xAI連結で損益構造が変化。AIの赤字が乗り、連結ベースの損益は読みにくくなっています。
③ Starshipの進捗と巨額capex(年200億ドル超=推定)が、黒字化の時期を大きく左右します。
出所:各種報道・会社資料(2026年6月時点・概算/推定)。上場直後で不確実性が高く、方向感を示すものです。
上場2週間で、すでに大きく上下。
成長株のものさしは、割安かどうか(PBR)ではなく成長と質。さらにスペースXは赤字でPERが出せないため、PERの代わりにPSRとStarlinkの伸びを見ます。
株価の推移(上場後・ドル)
上場後の主要な節目/単位:ドル成長レンズの指標 ― PERが無いから「伸び」を見る
SpaceXはGAAP赤字でPERが算出できません。だから黒字メガテックとPERで横並び比較はできない。代わりに売上成長・PSR・Starlinkの伸びで「質と勢い」を見ます。
成長株で最重要。柱のStarlinkがけん引。規模拡大に伴い今後は鈍化する可能性も。
Starship開発とxAI投資が重く、全社は営業赤字。Starlink部門単体は黒字。
GAAP赤字のためPERは出せない。黒字メガテックとPERで横並び比較はできない点に注意。
時価総額が売上の何倍か。売上の約100倍超は黒字メガテック(約8倍)と比べても極端な高水準で、期待がたっぷり織り込まれている。
1株あたりの損益(FY2025・S-1)。設備投資とxAI投資が重く、まだ赤字。
設備投資 約207億ドル(推定)が重く、稼ぐ現金はまだマイナス。資金は資本市場に依存。
成長の実体。1年で約2倍。ARPUは約66ドル/月(概算)。
株主還元はなし。稼いだ現金以上を成長投資に回すフェーズ。
PERが無い理由と、伸びの“実体”
スペースXはGAAP赤字なのでPERは算出できません。だから黒字メガテックとPERで横並び比較はできない。代わりに見るべきは、伸びの源泉=Starlinkの契約者数。下のチャートは契約数(百万件・概算)の推移です。1年で約2倍のペースで増えています。
赤字でPERは見られないが、伸びの実体はStarlink契約者数。1年で約2倍に増えています(数値は百万件・概算)。
出所:各金融情報サイト・各種報道(株価・指標は2026年6月下旬の概算、ドル建て)。上場直後で値動き・指標は大きく動きます。数値は二次情報に基づく概算です。
PERでは比べられない。だからPSRで。
指標は比べて初めて意味を持ちます。ただしスペースXは赤字でPERが出せないため、黒字のメガテックとPERで横並び比較はできません。ここでは成長率・利益率・PSRで位置を見ます。
成長レンズで比較
バーの長さは水準のイメージ(概算)※ PERは赤字で算出不可。黒字メガテックとPERで横並び比較はできないため、ここではPSRで比べています。メガテック=Apple・Microsoft等の目安、S&P500平均=概算。集計元・時点で変動します。
オルカン上位と並べる(概算)
SpaceXは番外編。組入はこれからで、PERは出せません。黒字のNVIDIAと“ものさしの違い”を見比べてください。
| 銘柄 | オルカン比率 | 時価総額 | PER | 売上成長 |
|---|---|---|---|---|
| SpaceXSPCX | ごく小さい※ | 約2.0兆ドル | —(赤字) | +33% |
| NVIDIANVDA | 約4.9% | 約4.7兆ドル | 約25倍 | +65% |
| 黒字メガテック(参考) | — | — | 約30倍 | 約15% |
※ SpaceXは2026年6月12日上場で、オルカン(MSCI ACWI)には6月29日付の早期組入でごく小さく入り始めた段階。赤字でPERが出せないため、黒字のメガテックとはPERで横並び比較できません。
上場直後。評価はまだ定まっていない。
アナリストは1年後の目標株価と投資判断を出しますが、スペースXは上場したてでカバレッジが限定的。期待は大きい一方、赤字・高PSRへの慎重論もあり、見方は割れています。
投資判断(レーティング)の内訳
カバレッジは少なく、強気と中立が拮抗。
※ 上場直後でカバレッジは限定的。評価はまだ固まっていません(集計元・時点で変動)。
目標株価(1年後・ドル/概算)
平均目標株価(約188ドル)は直近株価(約153ドル)より上。ただしカバレッジが薄く、「赤字でも成長で正当化されるか」で強気・慎重の差が大きく開いています。
市場の関心は一点に尽きます——「いつ黒字化するのか、Starshipは計画どおり進むのか」。史上最大IPOゆえに注目は大きく、値動きも荒くなりがちです。
出所:各証券・金融情報サイトのコンセンサス(2026年6月時点の概算)。目標株価・判断は各社・時点で異なり、数値は二次情報に基づきます。
オルカンに“入り始めた”、いちばん新しい中身。
スペースXは2026年6月12日に上場したばかり。だから他の中身(NVIDIAなど)とは違い、まだオルカンにごく小さくしか入っていません。それでも、この規模なら今後の存在感が見込まれる“番外編”です。
パッシブインデックスでの採用状況
上場直後。組入はこれから本格化
- 全世界株式(オルカン/MSCI ACWI)2026年6月29日付の早期組入で、ごく小さく入り始めた段階。比率は今後の見直しで段階的に変わる見込み。
- Nasdaq-1002026年7月6〜7日に組入予定(報道)。ハイテク指数への採用が進む。
- S&P500黒字要件・上場12カ月要件を満たさず当面は未組入。最短でも2027年以降の見込み。
いまはまだ極小ウェイト。ですが時価総額が大きいほど指数での比率も大きくなるため、黒字化や上場期間の条件が整えば、存在感は一気に増す可能性があります。
アクティブテーマ・グロース系の注目株
宇宙・新規上場テーマの中核候補
- 宇宙・衛星通信テーマファンド民間宇宙の本命として、組み入れの中心になりやすい。
- 新規上場(IPO)・グロースファンド史上最大IPOとして注目度が高く、初動の主役になりやすい。
- イノベーション・破壊的技術ファンド再使用ロケット・AIを掛け合わせた成長テーマとして人気。
出所:MSCI・各指数の発表、各種報道(2026年6月時点)。組入比率・スケジュールは見直しで変動します。番外編のため、組入は他の中身より小さい点にご注意ください。
「宇宙の独占者」か、「Musk頼みの赤字企業」か。
スペースXほど期待と警戒が交錯する銘柄はありません。圧倒的な技術力への熱狂と、赤字・ガバナンスへの冷静な警戒。両方の言い分を並べます。
強気派の見方
- +再使用ロケットのコスト優位。kg単価でULA/Arianeに圧勝し、打ち上げ件数で世界の約半分(米国では約85%)。
- +Starlinkのネットワーク効果+垂直統合。ロケット・衛星・端末を自社一貫で握り、追随が難しい。
- +政府契約(NASAの有人輸送・Starshield)が安定的な需要の土台。
- ±Starlink契約は1年で約2倍。黒字化が見えれば評価は一段上がり得る、という楽観。
慎重派の見方
- -GAAP赤字・PSR約105倍・FCF大幅マイナス。期待が剥がれると下げも大きい。
- -Musk依存(キーパーソンリスク)。経営も技術も一人への依存度が高い。
- -Starshipの実行リスクと巨額capex。開発の遅れが黒字化を後ろ倒しにする。
- ±種類株でMuskが議決権 約82〜85%、公開フロートは約5%。少数株主の発言力は限定的。
出所:各種報道・市場コメント(2026年6月時点)。評価は時点で大きく変わり、数値は二次情報に基づきます。
なぜ、他社はスペースXを追い抜けないのか。
スペースXの“顔”は、ロケットの華やかさより再使用によるコスト優位と、垂直統合です。打ち上げを安く・高頻度でこなし、その上にStarlinkと政府契約を積み上げた構造が、独占的な地位を支えています。
堀の核心は「同じロケットを何度も使う」こと。ブースターは最大で約35回も再使用され、1回あたりのコストが激減。だから他社より圧倒的に安く・速く打ち上げられ、世界の打ち上げの約半分を握ります。
さらに、その安いロケットで自社のStarlink衛星を大量配備。ロケット・衛星・地上端末まで自前でそろえる垂直統合と、NASA有人輸送やStarshieldといった政府契約が、需要と信頼の土台になっています。競合のAmazon(Kuiper)は自前ロケットが乏しく、打ち上げを他社に依存している点が対照的です。
堀の強み崩れにくい優位
- 再使用のコスト優位:kg単価でULA/Arianeに圧勝。安く高頻度に打ち上げられる。
- ネットワーク効果+垂直統合:ロケット・衛星・端末を自社一貫。Starlinkは規模が増すほど強い。
- 政府契約:NASA有人輸送・Starshieldなど、安定需要と信頼の土台。
- 開発スピード:内製と高頻度の打ち上げで、改良サイクルが速い。
堀への挑戦それでも狙われている
- 競合の追い上げ:Blue Origin・Rocket Labが再使用や大型機で挑む。
- Amazon Kuiper:資金力でStarlinkに対抗(ただし自前ロケットが乏しく打ち上げは他社依存)。
- Starshipの実行リスク:次世代機の遅れは、堀の拡張を遅らせる。
- 規制・政治:周波数・軌道・輸出規制など、当局の視線を集めやすい。
各社には“堀”がある
NVIDIAはCUDA(ソフトの囲い込み)、Appleはエコシステム(iPhoneと連携)、Microsoftはクラウドと法人基盤、Googleは検索とデータ——というように、巨大企業にはそれぞれの「崩れにくい堀」があります。スペースXの堀は再使用ロケットのコスト優位+Starlinkの垂直統合。番外編とはいえ、見どころは同じ「堀の強さ」です。
宇宙需要・政府予算・規制・競争。
スペースXの業績は、世界の宇宙・通信需要と、政府予算や地政学に直結します。追い風と逆風を整理します。
宇宙・衛星通信需要
最大の追い風世界中で衛星インターネットや打ち上げの需要が拡大。Starlinkの契約は1年で約2倍に増えました。
需要が続く限り強い一方、普及ペースや競争激化がARPU(単価)を左右します。
政府・防衛予算
安定の土台NASAの有人輸送やStarshield(政府・防衛向け)など、公的な契約が安定需要の柱です。
予算配分や政権の方針次第で、受注は増減します。
規制・政治
逆風(地政学)周波数・軌道の割り当て、輸出規制、各国の許認可など規制リスクが広い。
Musk氏の政治的言動が、契約や世論・株価の不確実性要因にもなります。
競争・新規参入
中長期の論点Blue Origin・Rocket Labの追い上げ、Amazon Kuiperの対抗投資が最大の競争。
再使用の堀がどこまで持つか、Starshipが計画どおり進むかが鍵です。
出所:各種報道・会社資料(2026年6月時点)。マクロの影響は不確実性が高く、方向感を示すものです。
「打ち上げ」から「宇宙インフラ」、そして火星へ。
スペースXの長期の方向性です。近い将来は会社の戦略、遠い将来は不確実な見立てとして区別して読んでください。
- Nasdaq上場(史上最大IPO)
- Starlink契約 約1,030万件
- 打ち上げは世界の約半分
- 完全再使用のStarshipを実用化
- Starlinkの契約・ARPUを拡大し全社黒字化を目指す
- 政府・商業の打ち上げ需要を取り込む
- 通信・観測・輸送の宇宙インフラとして定着
- 月・深宇宙への輸送が新たな柱に
- AI(xAI)との連携で事業を広げる
- 堀が保てれば宇宙インフラの中核であり続ける
- 火星輸送という長期ビジョンの進捗が問われる
- 競争・規制・Musk依存でシナリオが大きく振れる
近い将来は会社の戦略に沿いますが、達成は環境次第。遠い将来ほど不確実性が大きく、ここでの記述は一つのシナリオです(火星輸送などはマスク氏の長期ビジョン=推定)。
ドル建ての株。還元はなし、議決権はMuskに集中。
米国株はドル建て。日本のあなたが(投信や個別株で)持つと、株価だけでなく円高・円安の影響も受けます。スペースXは無配で、ガバナンス(種類株)にも特徴があります。
為替(ドル円)の効き方
① 円安になると、円換算の評価額は増える(同じ株価でも円では高くなる)。逆に円高は目減り要因。
② オルカンやS&P500も中身はドル資産。あなたの投信の値動きの一部は「為替」でできています。
③ 株価が上がっても円高ならリターンは薄れる——「株 × 為替」の二段構えで見るのがコツです。
還元はなし/議決権はMuskに集中
配当はなし(無配)。稼いだ現金以上をStarship開発やStarlink拡大に回す成長投資のフェーズで、自社株買いもありません。
ガバナンスは種類株。マスク氏が議決権の約82〜85%を握り、公開フロートは約5%。少数株主の発言力は限定的です。
さらにロックアップ解除やマイルストン連動の巨額株式報酬による希薄化にも注意が必要です。
出所:各種報道・目論見書(S-1)引用(2026年6月時点)。議決権比率・フロートは概算で、二次情報に基づきます。
史上最大IPOゆえに、見ておくべき4つのリスク。
夢のある会社ですが、番外編=新規上場ならではのリスクが濃いめです。良い面だけでなく、ここを併せて見るのが大切です。
赤字・高PSR・FCFマイナス
GAAPでは赤字でPERが出せず、PSRは約105倍と高水準。設備投資は年200億ドル超(推定)でFCFは大幅マイナス。期待が剥がれると株価の下げは大きくなりやすい。「良い会社」と「良い株価」は別問題です。
Musk依存(キーパーソンリスク)
経営・技術・資金調達まで、イーロン・マスク氏個人への依存度が高い。氏の判断や言動、他社(テスラ等)との掛け持ちが、業績や株価に直結します。
Starshipの実行リスクと競争
次世代機Starshipは開発段階で、コスト目標(<$10/kg等)はマスク氏の見立て=推定。遅れれば黒字化が後ろ倒しに。Blue Origin・Rocket Lab・Amazon Kuiperなどの競争も続きます。
ガバナンス・規制・政治
種類株でMuskが議決権を集中(約82〜85%)、公開フロートは約5%。ロックアップ解除や巨額株式報酬による希薄化、周波数・輸出規制、政治イベントで株価が大きく振れます。
スペースXは“いちばん新しい中身”。いまはオルカンに極小ウェイトでも、規模的に今後存在感を増す可能性があります。だからこそ、熱狂と冷静の両方の目で見るのが近道です(本ページの数値は報道・S-1引用の二次情報に基づく概算で、最新の一次情報をご確認ください)。
このページの要点。
正体:スペースXは再使用ロケットとStarlink(衛星通信)で宇宙を切りひらく民間宇宙の王者。2026年6月12日にNasdaqへ上場(史上最大IPO・時価総額約2.0兆ドル)。オルカン(MSCI ACWI)には6月29日付の早期組入でごく小さく入り始めた“いちばん新しい中身”=番外編。
決算:FY2025は売上187億ドル(+33%)。柱はStarlink(契約約1,030万件・部門は黒字)。ただしGAAPでは純損失約−49億ドル、xAI連結後のTTMは約−94億ドルと赤字。会計はxAI連結で構造が変化。
指標:赤字でPERは算出不可(—)。黒字メガテックとPERで横並び比較はできない。代わりにPSR約105倍と、伸びの実体=Starlink契約者数(1年で約2倍)を見る。配当はなし(無配・成長投資を優先)。
堀:再使用ロケットのコスト優位(世界の打ち上げの約半分)+Starlinkの垂直統合+政府契約。競合はBlue Origin・Rocket Lab・Amazon Kuiper。NVIDIA=CUDA、Apple=エコシステムのように、各社それぞれの堀がある。
リスク:赤字・高PSR・FCFマイナス、Musk依存、Starship実行リスク、ガバナンス(種類株で議決権約82〜85%・フロート約5%)。ドル建てゆえ円高/円安も効く。数値は二次情報の概算——最新の一次情報を必ず確認。