一覧 Apple入門 AAPL / NASDAQ
オルカンの中身 / 成長レンズで読む

「電話の会社」だと思うと、
半分も見えない。
Appleとは何者か。

Apple(ティッカー AAPL)は、iPhoneを核にハードとサービスを一体で囲い込む世界最大級のテック企業。あなたのオルカン(全世界株式)でも組入2位(約4.3%)の主役級です。売上の約半分はiPhoneですが、いま伸びの主役は高採算のサービス(App Store・iCloud等)。成長は年数%と派手ではないものの、桁外れの利益と巨額の自社株買いが魅力です。むずかしく感じても大丈夫、順番にほどきます。

iPhone(主力)
サービス(成長の主役)
Mac
iPad
ウェアラブル(Watch/AirPods)
App Store
Apple Pay(決済)
Apple Silicon(自社チップ)
空間・新領域(Vision)
時価総額
約4.2兆ドル
売上(FY25)
4,162億ドル
売上成長(前年比)
+6%
予想PER
約30

数値の基準時点:決算=FY2025(2025年9月期、2025年10月発表・米国基準)/ 株価・指標=2026年6月下旬時点の概算。出所:Apple 決算リリース・10-K、各金融情報サイト。ドル建て・四半期で動くため、最新の一次情報をご確認ください。

いそがしい人へ
  • 01AppleはiPhone×サービスのエコシステムで世界を囲い込む巨人。オルカンの組入2位(約4.3%)=あなたの投信で2番目に大きい中身です(1位はNVIDIA)。
  • 02FY2025(2025年9月期)は売上4,162億ドル(+6%)・純利益約1,120億ドル。売上の約半分はiPhone、伸びの主役は高採算のサービス(約26%・二桁成長)です。
  • 03成長は年数%と地味。見るのは利益率と巨額の自社株買い。NVIDIAと逆でPERはむしろ切り上がり、「割安でなく質に払う」株——高PERと成長鈍化がリスク
01 / そもそも何の会社?

パソコン屋が、
“生活の入口”になった。

Appleは、もともとパソコン(Mac)を作る会社でした。2007年のiPhoneで生活の中心に入り込み、いまは時計・イヤホン・決済・アプリ配信まで束ねる巨大なエコシステム企業。時価総額は世界最大級です。

ポイントは、Appleが売るのは「機械」ではなく“ぜんぶAppleだと快適”という体験だということ。ハード+OS+サービスを自社で一体に握り、いちど入ると抜けにくい仕組みを作っています。

1976

創業

ジョブズとウォズニアックらが創業。個人向けコンピュータの先駆けとして成長しました。

1984

Macintosh

マウスで操作するMacを発売。直感的なデザインと体験が、後のApple哲学の原型に。

2001

iPod / iTunes

音楽プレーヤーiPodとiTunesで「ハード×サービス」の型を確立。復活の足がかりに。

2007

iPhone登場

スマートフォンを一般化。Appleは生活の中心に入り込み、いまも売上の柱です。

2008〜

App Store/サービス

App Storeを開設。アプリ配信・iCloud・決済など高採算のサービスが育ち、新しい収益の柱に。

いま

時価総額 世界最大級

時価総額は約4.2兆ドル規模で、NVIDIAやMicrosoftと世界一を争う水準。オルカンでも組入2位です。

02 / どうやって稼ぐ?

半分はiPhone、伸びはサービス。

Appleの稼ぎは、いまもiPhoneが約半分。ただし成長の主役は、App StoreやiCloudなどの高採算のサービスです。ハードを“入口”に、サービスで継続的に稼ぐのが強さです。

iPhone(主力ハード)

Appleの心臓部で、売上の約半分。スマホ市場は成熟しており伸びは緩やかですが、エコシステムへの“入口”として圧倒的な存在です。

サービス(成長エンジン)

App Store・iCloud・Apple Pay・サブスク等。二桁成長+高い利益率で、いまの成長と利益を引っぱる主役。売上の約1/4を占めます。

Mac・iPad

創業以来のパソコンと、その派生のタブレット。自社設計チップ(Apple Silicon)で性能と電力効率を高め、安定した稼ぎ手になっています。

ウェアラブル・周辺

Apple Watch・AirPods・Homeなど。iPhoneと連携してエコシステムを厚くし、買い替えや乗り換えにくさを生む“接着剤”です。

※ Appleは自社で工場を持たず、組み立ては鴻海(Foxconn)などに、自社設計チップ(Mシリーズ等)の製造はTSMCに委託します。設計・OS・サービスに集中するのがAppleの型。NVIDIAと同じく、TSMCはAppleの“裏方”でもあります。

03 / 売上の構成

どこで稼ぎ、どこが伸びているか。

売上の構成を見ると、iPhoneへの依存とサービスへのシフトがはっきり分かります。ハードの伸びは緩やかでも、サービスの拡大が全体を底上げしています。

製品カテゴリ別売上の構成

FY2025(2025年9月期)/製品カテゴリ別売上の概算・億ドル
iPhone 50% サービス 26% ウェアラブル等 9% Mac 8% iPad 7%
ハードの主役(iPhone)成長エンジン(サービス)その他ハード(Mac/iPad等)

※ 概算イメージ。iPhoneが約半分(約2,096億ドル)、サービスが約1/4(約1,092億ドル)。サービスは高採算で、利益への貢献は売上比率以上に大きいのが特徴です。

3つの役割で読み解く

「成長レンズ」では、配当より伸びと持続性を見ます。3分類で整理します。

主力

売上の柱
iPhone
スマホ買い替え需要

売上の約半分。Appleの心臓部だが、スマホ市場は成熟し伸びは緩やか。エコシステムの“入口”でもある。

成長エンジン

高採算で拡大
サービス
App StoreiCloudApple Pay

アプリ配信・サブスク・決済など。二桁成長+高利益率で、いまの成長と利益の主役。

土台・新領域

安定+伸びしろ
Mac・iPad・ウェアラブル
MaciPadWatch/AirPodsVision

本業の周辺ハード。安定した稼ぎ手で、Vision Proなど次の領域の実験場でもある。

いまの立ち位置

iPhone依存の強さと、もろさ

iPhone一本足は、ブランドと普及台数が続く限り盤石。一方で、スマホ市場の成熟と買い替えの長期化で、ハードの伸びしろは限られます。

だからAppleは、サービスの拡大と空間コンピューティング・ヘルスなど“次の柱”づくりに力を入れています。

出所:Apple FY2025 決算リリース・各社報道。構成比は概算で、四半期ごとに変動します。

04 / 最新決算を読む(質が主役)

成長は地味でも、利益率は過去最高。

成長株では「いくら稼いだか」だけでなく利益率の高さ・継続性も見ます。FY2025(2025年9月期)は売上の伸びこそ年数%ですが、サービス化で粗利益率が過去最高に達しました。

売上高(FY25)
4,162億ドル
+6% 前年比
純利益(FY25)
1,120億ドル
過去最高
粗利益率
約47%
過去最高水準

売上高の推移と来期予想

単位:億ドル / 年次(9月期)
0 1,250 2,500 3,750 5,000 3,943 FY22 3,833 FY23 3,910 FY24 4,162 FY25 4,400 FY26予 会社予想
実績市場予想(FY26)

FY2023は一時減収でしたが、サービスの拡大でFY2025は4,162億ドル(+6%)と過去最高。サービス売上は約1,092億ドル(前年比+約14%)と二桁成長で、利益率を押し上げました。

成長の質

「伸びは地味でも、抜群に儲かる」

Appleの強みは成長率より利益の質。営業利益率は約32%、粗利益率は過去最高の約47%。高採算のサービス比率が上がるほど、全体の利益率も上がる構造です。直近ではサービスがiPhoneを抜いて粗利益の最大の貢献源になりました。

稼いだ巨額の現金(FCF)は、自社株買いに回しています。

注意して読む

成長は“速くない”

売上の伸びは年数%。NVIDIAのような爆発成長ではなく、メガテックの中ではむしろ低成長です。市場は「サービスとAIでどこまで再加速できるか」を毎四半期チェックしています。

数字は会計基準(GAAP/non-GAAP)や一時要因で見え方が変わる点も注意です。

出所:Apple FY2025 決算リリース・10-K(2025年10月)。金額は概算・ドル建て。

05 / 来期はどうなる?(ガイダンス)

会社の見通しは、ゆるやかな増収。

米国企業は「来四半期の見通し(ガイダンス)」を出します。Appleは具体数値より定性的に語ることが多く、市場はFY2026もゆるやかな増収を見込んでいます。

市場予想 売上(FY2026=2026年9月期)
約4,400 億ドル
ゆるやかな増収を市場は想定(予想は変動)
サービスは二桁成長が続く見通し / AI(Apple Intelligence)が次の鍵

ガイダンスを読む3つの注記

① ガイダンスは「約束」ではなく会社の見通し。Appleは具体数値を絞り、iPhoneとサービスの伸びに市場の関心が集まります。

② 焦点は中国とAI。中国販売の回復と、Apple Intelligence(生成AI)の普及が、再加速できるかの鍵です。

規制リスク。App Store手数料やGoogleからの検索料が、サービス収益の不確実要因になります。

06 / 株価と「なぜ高PERか」

株価が上がるほど、PERも上がってきた。

成長株のものさしは、割安かどうか(PBR)ではなく「高いPERが正当化されるか」。Appleは、NVIDIAとは真逆の興味深い例です。

株価の推移(2026年・ドル)

終値ベースの主要な節目(概算)/単位:ドル
200 225 250 275 300 248 1月 232 3月 258 4/30 276 6/15 284 6/26
株価(ドル)決算発表(4月)
直近の株価(6月下旬)
約284ドル
6/26 終値 $283.78
時価総額
約4.2兆ドル
世界最大級
配当利回り
約0.4%
配当は少額

成長レンズの指標 ― 割安さより「質」を見る

米国の成長株は配当が低く、PERも高いのが普通。S&P500平均PERは約20〜22倍、メガテックは30倍超も珍しくありません。Appleは低成長でも高PER=「質・安定」へのプレミアムをどう見るかが論点です。

売上成長率前年比
+6%

メガテックの中ではむしろ低成長。だからこそ高PERの妥当性が論点になる。

営業利益率収益の質
約32%

巨大なのに高利益率。サービス比率の上昇で粗利益率は過去最高。

予想PERforward PER
約30

S&P500(約21倍)より高い。低成長で高PER=「質・安定」への上乗せ。

PSR株価売上倍率
約9

時価総額が売上の何倍か。ハード企業としては高め。サービス化が支える。

EPS1株利益
約7.5ドル

FY25の1株利益。自社株買いで株数が減り、EPSは底上げされる。

FCFフリーCF
約990億ドル

稼ぐ現金は桁外れ。これが巨額の自社株買いの原資になる。

サービス比率売上構成
約26%

高採算サービスが売上の1/4超。利益への貢献はさらに大きい。

配当還元
年$1.04

利回りは約0.4%と低いが、十数年連続で増配。中心は自社株買い。

いちばんの注目点

「高PER」は、むしろ切り上がってきた

NVIDIAは利益が株価以上に伸びてPERが下がりました。Appleは逆。利益の伸びは年数%なのに株価が上がり、予想PERは約22倍から30倍超へ拡大しました。低成長でも「質・安定・サービス成長・巨額還元」に投資家がプレミアムを払っている——これが「割安」ではなく「質に払う」株だということ。下のチャートはそのイメージです。

10 20 30 40 22 FY22 28 FY23 35 FY24 38 FY25 30 現在(予想)

PERは数年で約22倍から38倍へ上昇し、今は予想で約30倍。成長は派手でないのに評価が切り上がった=マルチプル拡大。だからこそ「高すぎないか」が最大の論点になります。

出所:各金融情報サイト(株価・指標は2026年6月時点の概算、ドル建て)。PER/PSRは集計元・予想の置き方で変わります。株価の節目は概算です。

07 / 他のメガテック・市場と比べる

「低成長×高PER」=質で評価される株。

指標は比べて初めて意味を持ちます。S&P500(市場平均)メガテックに当てると、Appleの「成長は遅めだが利益率は高く、PERはメガテック並み」という位置が見えます。

成長レンズで比較

バーの長さは水準のイメージ(概算)
売上成長率前年比(高いほど成長)
Apple
約6%
メガテック平均
約15%
S&P500平均
約6%
予想PER高いほど割高(成長期待)
Apple
約30倍
メガテック平均
約30倍
S&P500平均
約21倍
営業利益率高いほど“質”が高い
Apple
約32%
メガテック平均
約30%
S&P500平均
約13%

※ メガテック=Apple・Microsoft・Alphabet・Amazon・Meta等の目安。S&P500平均=概算。集計元・時点で変動します。

オルカン上位を実数で並べる(概算)

あなたのオルカンの「中身トップ」を、組入比率つきで。Appleは1位NVIDIAに次ぐ2位です。

銘柄オルカン比率時価総額予想PER売上成長
AppleAAPL 約4.3%約4.2兆ドル約30倍約6%
NVIDIANVDA 約4.9%約4.7兆ドル約25倍+65%
MicrosoftMSFT 約2.9%約2.8兆ドル約20倍約15%

同じ「オルカン上位」でも性格は様々。Appleは成長こそ遅めですが、桁外れの利益と還元、強い堀で、相場全体を支える“安定の主役”になっています。

08 / 市場・アナリストの評価

評価は「買い」優勢。ただし見方は割れる。

アナリストは1年後の目標株価と投資判断を出します。Appleは「買い」が多数派ですが、低成長と高PERをどう見るかで、目標株価のレンジは広めです。

投資判断(レーティング)の内訳

コンセンサスは「買い」寄り。

強気・買い
多数
中立
一定数
弱気・売り
少数

※ 多数が「買い」。中立も一定数あり、売り推奨は少数(集計元・時点で変動)。

目標株価(1年後・ドル)

慎重派
215 ドル
平均(コンセンサス)
315 ドル前後
強気派
400 ドル

平均目標株価は直近株価(約284ドル)より。ただし「AIとサービスで再加速できるか」への見方で、強気派と慎重派の差が大きく開いています。

市場の関心はこうです——「世界一の利益マシンが、低成長でも高い評価を保てるか」。Appleの株価は、メガテックの“安定の象徴”として注目されています。

出所:各証券・金融情報サイトのコンセンサス(2026年6月時点の概算)。目標株価・判断は各社・時点で異なります。

09 / 投資信託での位置づけ

あなたのオルカン・S&P500の、2番目に大きい中身。

Appleは、日本で大人気のインデックス投信で上位の構成銘柄。「個別株は買っていない」人も、投信を通じてしっかり保有しています。

組入2位
全世界株式(オルカン)で組入比率 約4.3%=堂々の2位(1位はNVIDIA)。S&P500連動ファンドでも上位常連。日本の個人が積み立てるお金の少なからぬ割合がAppleに向かっている計算です。

パッシブインデックス投信での採用

時価総額が大きい=指数での比率も大きい

  • 全世界株式(オルカン)組入比率 約4.3%で2位(2026年5月末時点)。世界の株の中でも特に多く持たれている。
  • S&P500米国500社の指数でも上位の構成。米国株インデックスの主役の一つ。
  • ナスダック100ハイテク中心の指数では中核的存在。

時価総額が大きいほど、指数の中での比率も大きくなります。Appleが動くとオルカンやS&P500そのものが動く——それだけの存在感です。

アクティブ質を狙う投信の定番

米国大型・テック・配当成長の中核

  • 米国大型株ファンド高利益率・強い堀の代表として、ほぼ必ず上位に組み入れられる。
  • テクノロジー関連ファンドメガテックの中核として定番の保有銘柄。
  • 配当成長・クオリティ系連続増配と巨額の自社株買いから、“質”を狙う投信でも好まれる。

出所:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート(2026年5月末基準)、各運用会社の交付目論見書等。組入比率・順位は毎月変動します。

10 / 投資家からの評判

「世界最強のエコシステム」か、「成長が止まった巨人」か。

Appleほど“安定”と“割高”の評価が同居する銘柄はありません。熱心な強気と、冷静な警戒。両方の言い分を並べると、この株の性格が見えてきます。

強気派の見方

「世界最強のエコシステム」
  • エコシステムの堀で顧客が離れない。世界で20億台を超えるApple製品が使われている。
  • サービスが高採算で二桁成長。粗利益率は過去最高。利益の“質”が群を抜く。
  • 桁外れのFCFと巨額の自社株買いで、株数を減らしEPSを底上げし続ける。
  • ±成長は地味でも、安定とブランドで“ディフェンシブな質”として保有される。

慎重派の見方

「低成長・高すぎ」
  • 売上の約半分がiPhone。スマホ市場は成熟し、ハードの伸びは頭打ち気味。
  • 予想PER約30倍は低成長(約6%)に対して割高との声。期待が剥がれると下げも。
  • 独禁・規制リスク。App Store手数料やGoogleからの検索料が訴訟・規制の的。
  • ±生成AI(Apple Intelligence)で出遅れ感。挽回できるかは未知数。

出所:各種報道・市場コメント(2026年6月時点)。評価は時点で大きく変わります。

11 / エコシステムという堀

なぜ、ユーザーはAppleから離れないのか。

Appleの“顔”は、製品単体の性能よりハードとサービスを一体で囲い込むエコシステム。iPhone・Mac・Watch・AirPodsが連携し、iCloudやApp Storeでつながると、他社へ乗り換えるのが面倒になる——この乗り換えコストと強いブランドが、高い利益率を支えています。

エコシステムとは——iPhoneで撮った写真がMacで開け、AirPodsが自動でつながり、Apple Payで決済し、iMessageで連絡する……という「全部Appleだと快適」な状態。1つ買うと次もAppleになりやすく、一度入ると抜けにくい

これは「スマホをiPhoneからAndroidに替えると、アプリ・写真・操作を移すのが面倒」という乗り換えコストそのもの。さらに強いブランド力で価格を高く保て、App Storeの手数料などサービスの“通行料”も得られます。だから利益率が高い。

堀の強み崩れにくい囲い込み

  • 乗り換えコスト:機器・データ・習慣がApple中心に積み上がり、離れにくい。
  • ブランド:高価格でも売れる、強いブランドと体験。
  • 一体提供:ハード+OS+サービスを自社で囲い込む。
  • 高い利益率:堀があるから価格決定力が強く、粗利益率は過去最高。

堀への挑戦それでも狙われている

  • 規制:App Store手数料・自社決済の囲い込みに、各国当局が圧力。
  • 検索料:Googleからの巨額の検索デフォルト料が独禁訴訟の的に。
  • 成長鈍化:スマホ市場は成熟し、買い替えが伸びにくい。
  • AI競争:生成AIで主導権を握れるかは、まだ未知数。
このシリーズの中で

各社には“堀”がある

NVIDIAはCUDA(AI計算の共通語)、Microsoftはクラウドと法人基盤、Googleは検索とデータ——というように、巨大テック各社にはそれぞれの「崩れにくい堀」があります。Appleの堀はエコシステム(ハード×サービスの囲い込みとブランド)。オルカン上位の見どころは、この「堀の強さ」です。

12 / マクロ環境との接点

サービス・AI・規制・中国。

Appleの業績は、世界の消費・AIの波・規制・地政学に直結します。追い風と逆風を整理します。

サービス化・AI

構造の追い風

高採算のサービスが二桁成長し、全体の利益率を押し上げる。Appleの成長の主役です。

Apple Intelligence(生成AI)が普及すれば、買い替えとサービスの両方を刺激する可能性。

規制・独禁

逆風

App Storeの手数料や自社決済の囲い込みに、各国の競争当局が圧力をかけています。

Googleからの検索デフォルト料は独禁訴訟の的で、サービス収益の不確実要因です。

中国・サプライチェーン

地政学

生産(組立)と販売の両面で中国に依存。米中対立や現地競争が、業績の振れ要因に。

生産拠点の分散(インド等)を進めていますが、移行には時間がかかります。

為替・金利

マクロ

海外売上比率が高くドル建て。世界の景気と為替が、円換算のリターンに効きます。

金利が高いと高PER株には逆風。Appleもバリュエーションが揺れやすくなります。

出所:各種報道・会社資料(2026年6月時点)。マクロの影響は不確実性が高く、方向感を示すものです。

13 / 5年・10年・20年の立ち位置

「ハードの会社」から「サービスとAIの会社」へ。

Appleの長期の方向性です。近い将来は会社の戦略遠い将来は不確実な見立てとして区別して読んでください。

いま / 2026
エコシステム王者
現在地
実績
  • 売上4,162億ドル・+6%
  • サービスが約26%で二桁成長
  • 時価総額 世界最大級
〜5年
サービス+AI
会社戦略
戦略
  • サービス比率をさらに引き上げる
  • Apple IntelligenceでAI体験を端末に統合
  • ウェアラブル・決済・サブスクの拡大
〜10年
新領域への拡張
ビジョン
ビジョン
  • 空間コンピューティング(Vision)の本格化
  • ヘルスケア・自動化など新しい柱づくり
  • “生活のプラットフォーム”として定着を狙う
〜20年
分岐点
構造シナリオ(推定)
見立て
  • 堀が保てればプラットフォーム王者であり続ける
  • 規制・AI競争・スマホ離れで優位が揺らぐシナリオも
  • 新領域が当たるかどうかで姿が大きく変わる

近い将来は会社の戦略に沿いますが、達成は環境次第。遠い将来ほど不確実性が大きく、ここでの記述は一つのシナリオです。

14 / 為替と株主還元

ドル建ての株。だから「為替」も効く。

米国株はドル建て。日本のあなたが(投信や個別株で)持つと、株価だけでなく円高・円安の影響も受けます。還元は配当より自社株買いが中心です。

為替(ドル円)の効き方

円安になると、円換算の評価額は増える(同じ株価でも円では高くなる)。逆に円高は目減り要因。

② オルカンやS&P500も中身はドル資産。あなたの投信の値動きの一部は「為替」でできています。

③ 株価が上がっても円高ならリターンは薄れる——「株 × 為替」の二段構えで見るのがコツです。

株主還元は「自社株買い」中心

配当も払いますが利回りは約0.4%と低め。Appleは稼いだ巨額の現金を、大規模な自社株買いに振り向けます。

自社株買いは発行株数を減らし、1株あたり利益(EPS)を押し上げる還元。Appleは2012年以降で総額1兆ドル超(うち買い戻し約8,500億ドル)を株主に還元してきました。

=「配当が少ない=株主軽視」ではない、という点が日本の高配当株との大きな違いです。

出所:Apple 決算リリース・各金融情報サイト(2026年6月時点)。配当・自社株買いは会社方針で変わります。

15 / リスクと注意点

巨人ゆえに、見ておくべき4つのリスク。

強い会社ですが、成長株ならではのリスクがあります。良い面だけでなく、ここを併せて見るのが大切です。

01

高バリュエーション(高PER)リスク

予想PER約30倍は、低成長(約6%)に対しては割高との見方も。AIやサービスへの期待が剥がれると、株価の下げは大きくなりやすい。「良い会社」と「良い株価」は別問題です。

02

成長鈍化・iPhone依存

売上の約半分がiPhone。スマホ市場は成熟し、買い替えは長期化。サービスは伸びていますが、全体の成長を高く保てるかは毎四半期の焦点です。

03

規制・独禁

App Storeの手数料や自社決済の囲い込み、Googleからの検索デフォルト料(高採算のサービス収益)が、各国の規制・訴訟の的になっています。

04

中国・地政学・為替

生産と販売の両面で中国に依存し、米中対立の影響を受けやすい。ドル建てゆえ円高/円安の為替も効きます。

Appleは「メガテックの安定の象徴」。オルカンの2番目に大きい中身だからこそ、この1社の浮き沈みが、あなたの投信全体にも効いてきます。熱狂と冷静、両方の目で見るのが近道です。

/ 3行でまとめると

このページの要点。

正体:Appleはハード×サービスを囲い込むエコシステムの巨人。オルカン組入2位(約4.3%)=あなたの投信で2番目に大きい中身。売上の約半分はiPhone、伸びの主役は高採算のサービス(約26%・二桁成長)。

決算:FY2025は売上4,162億ドル(+6%)・純利益約1,120億ドル・EPS約7.5ドル。粗利益率は過去最高の約47%、営業利益率は約32%。サービスがiPhoneを抜いて粗利益の最大の貢献源に。

指標:成長レンズで見ると低成長(約6%)・予想PER約30倍。NVIDIAと逆でPERはむしろ切り上がり=「割安でなく質に払う」株。FCFは約990億ドルと桁外れ。

堀:強さの源はエコシステム(乗り換えコスト+ブランド)。NVIDIA=CUDA、Microsoft=クラウド、Google=検索のように各社に堀があり、Appleの堀はエコシステム。ただし規制・AI競争が長期の挑戦。

リスク:高バリュエーション・成長鈍化/iPhone依存・独禁/Google検索料・中国/地政学。ドル建てなので円高/円安の為替も効く。還元は巨額の自社株買い中心。