「電話の会社」では、
もう古い。
NTTとは何者か。
NTT(証券コード 9432)は、日本最大の通信グループ。ドコモや固定電話だけでなく、データセンター・グローバルIT・不動産まで手がけます。2023年の株式分割で1株が約150円になり、個人にいちばん持たれる“国民株”に。連続増配でも知られます。むずかしく感じても大丈夫、順番にほどいていきます。
数値の基準時点:決算=2026年3月期(2026/5/8発表・IFRS)/ 株価・指標=2026年6月下旬時点の概算。出所:NTT 決算短信〔IFRS〕・IR資料、IRBANK、各証券・金融情報サイト。数値は変動するため最新の一次情報をご確認ください。
- 01NTTは日本最大の通信グループ。ドコモ+固定+グローバルIT。2023年の25分割で1株約150円になり、NISAで個人にいちばん買われる株に。
- 0226.3期は営業収益14.4兆円と過去最高。ただし純利益は約1.04兆円で横ばい〜微減、27.3期は減益見通し。利益の伸びは一服しています。
- 03それでも連続増配(年5.4円予想)+自社株買いで還元は厚い。利回り約3.7%。「成長より安定配当」の代表格と覚えればOK。
「電話会社」から、
日本最大の「情報インフラ」へ。
NTTのはじまりは、国の電話事業を引き継いだ会社です。そこから40年、携帯(ドコモ)・インターネット・データセンター・海外ITへと広がりました。いまは“電話の会社”というより、日本の通信と情報を支える土台そのものです。
覚えておくと早いのは、NTTが持株会社だということ。ドコモ・コミュニケーションズ・データ・グローバルなど、性格の違う会社を束ねるグループの「親」です。
民営化でスタート
日本電信電話公社(電電公社)が民営化され、NTTが誕生。国の電話網をそのまま引き継ぎました。
持株会社へ再編
1999年に持株会社体制へ。地域通信(東日本・西日本)、長距離・国際(コミュニケーションズ)、データなどに分社しました。
ドコモの時代
携帯電話のNTTドコモが急成長し、グループの稼ぎ頭に。固定電話の減少を移動通信が補いました。
ドコモを完全子会社化
NTTがドコモを約4.3兆円で完全子会社化。料金値下げ局面で、グループ一体での効率化を進めました。
株式を25分割
1株を25株に分割し、1株が約150円に。少額で買えるようになり、個人投資家が一気に増えました。
IOWN(アイオン)へ
光を使った次世代基盤IOWNと、AI向けデータセンターに投資。「電話会社」から「情報インフラ会社」への作り替えが進みます。
4つの事業で稼ぐ。主役はやっぱりドコモ。
NTTの決算は大きく4つに分かれます。利益のいちばんの柱は携帯のドコモ(総合ICT)。最近は海外IT(グローバル)が伸び、固定の地域通信が安定を支える——この組み合わせです。
総合ICT(NTTドコモ)
携帯・スマホ、d払いやdポイントなどの金融・決済も。グループ最大の利益の柱ですが、料金競争の影響も受けます。
グローバル・ソリューション
海外の企業向けIT・クラウド・データセンター(NTTデータ等)。直近の利益成長を牽引する“成長エンジン”です。
地域通信
NTT東日本・西日本の固定回線・光ファイバー。じわじわ縮むものの、毎月積み上がる安定収益の土台です。
不動産・エネルギー・その他
都市開発(NTT都市開発)、再生可能エネルギー、システム開発など。2026年3月期からは住信SBIネット銀行も連結に加わりました。
※ セグメント名や区分は会社の開示に基づく整理です。金融(住信SBIネット銀行)の連結化など、構成は年により変わります。
どこで稼ぎ、どこが伸びているか。
利益の構成を見ると、ドコモ中心の主力に、海外のグローバルが成長で食い込んできた構図が分かります。安定・成長・主力の3つに束ねて整理します。
セグメント営業利益の構成
2026年3月期/セグメント営業利益の概算イメージ・億円※ あくまで概算イメージです。総合ICT(ドコモ)が最大の柱ですが、26.3期は料金影響などで前期比マイナス。代わりにグローバルが大きく伸びて全体を支えました。
3つの役割で読み解く
同じ「稼ぎ」でも、景気や競争への強さが違います。3分類で見ると、NTTが“ディフェンシブ(守りに強い)”と言われる理由が見えてきます。
安定
ディフェンシブ毎月の通信料が積み上がるストック型。景気が悪くてもスマホや回線は止めにくく、収益が崩れにくいのが強みです。
成長
伸びしろ海外IT・クラウド・AI向けデータセンター。世界のデジタル投資を取り込み、直近の利益成長を引っ張ります。投資先行で振れもあります。
主力
競争にさらされるグループ最大の利益源ですが、料金値下げ競争や乗り換えの影響を受けます。金融・ポイントで顧客をつなぎ留める戦略です。
安定はあるが、成長は“次の一手”待ち
固定とドコモで安定した土台はあります。ただ、料金競争でドコモの利益が伸び悩むなか、次の成長はグローバルとIOWN・データセンターに懸かっています。
大きな投資が先に出るため、利益が一段と伸びるには時間がかかる——これがいまのNTTの宿題です。
出所:NTT 2026年3月期 決算説明会資料・各社報道。構成比は営業利益の概算で、区分・金額は変動します。
増収だけど、利益は“足踏み”。
2026年5月8日発表の通期決算(2026年3月期)です。売上は過去最高を更新しましたが、利益はほぼ横ばい。良いところと、気になるところを分けて見ます。
純利益の推移と来期予想
単位:億円 / 株主に帰属する当期利益24.3期の約1.28兆円をピークに、純利益は1兆円前後で足踏み。26.3期は約1兆370億円で前期比は微増、27.3期は会社が減益を見込みます。
海外IT(グローバル)が伸びた
グローバル事業の営業利益は前期比で大きく増加。世界のデジタル投資・データセンター需要を取り込み、ドコモの伸び悩みを補いました。
売上は5年連続の増収で、過去最高を更新しています。
本業ドコモの足踏みと、財務の変化
稼ぎ頭の総合ICT(ドコモ)は料金競争などで減益。グループ全体の純利益も伸び悩みました。
また住信SBIネット銀行を連結化した影響などで、自己資本比率は前期の約34%から約21%へ低下。銀行を抱えると数字の見え方が変わる点に注意です。
出所:NTT 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕・決算説明会資料(2026/5/8)、各社報道。金額は概算を含みます。
会社予想は、やや慎重な減益。
会社が示す2027年3月期の見通しです。会社予想は「約束」ではなく「いまの計画値」ですが、経営の温度感が読めます。
予想を読むうえでの3つの注記
① 減益見通しの背景は、ドコモの料金影響・コスト増・先行投資。売上は伸びても利益が付いてこない局面です。
② IOWNやデータセンターへの大型投資が続きます。回収には時間がかかり、しばらくは「種まき」が利益を抑えます。
③ それでも連続増配と自社株買い(2,000億円枠)で株主還元は続ける方針。利益より「還元の安定」を重んじる姿勢です。
1株150円前後。年の前半は、じり安。
2026年の株価は、年初の161円台から6月にかけて142円台までじりじり下げました。利益の伸び悩みが嫌われた形です。指標もやさしく整理します。
株価の推移(2026年)
終値ベースの主要な節目/単位:円この株は割安?割高? — 主要指標をやさしく
数字は「市場平均(東証プライムの概算)」と比べると意味が分かります。NTTは平均並み〜やや割安で、配当の厚みが魅力という位置づけです。
1株が1年で生む利益。株式分割後の水準。横ばい圏で推移。
1株あたりの純資産。株価(約144円)はこれをやや上回る水準。
利益の何年分か。市場平均(約15倍)より低めで、やや割安の目安。
純資産の何倍か。市場平均(約1.4倍)よりやや低い。1倍は超えています。
株主のお金をどれだけ増やしたか。8%超なら一般に良好。NTTは10%台。
株価に対する年間配当の割合。市場平均(約2%台)より高い高配当です。
前期の約34%から低下。住信SBIネット銀行の連結などが影響。銀行を含むと低めに出ます。
国内トップ級。株式分割で個人が一気に増え、“国民株”と呼ばれます。
PBRは1倍台。割安というより「適正圏」
オリックスやメガバンクのような「1倍割れからの再評価」物語とは違い、NTTのPBRはおおむね1.0〜1.7倍で推移してきました。いまは約1.2倍。割安というより妥当な水準で、配当の安定が買われるタイプです。
出所:IRBANK・各金融情報サイト(指標は2026年6月時点の概算、株価は遅延あり)。EPS/ROE/PER等は集計元により表記が異なる場合があります。株主数は直近開示の目安。
通信3社の中では「安定の最大手」。
ライバルはKDDIとソフトバンク。NTTは規模が最大で、利回りは3社で見ると中位。利益の伸びより安定感が持ち味です。
指標くらべ(自社/市場)
バーの長さは水準のイメージ※ 通信他社=KDDI・ソフトバンク等の目安。市場平均=東証プライムの概算。集計元・時点で変動します。
通信大手を並べる(概算・市場データ)
規模はNTTが断トツ。利回りは3社とも高めで、似たような“高配当ディフェンシブ”として並びます。
| 会社(コード) | 時価総額 | 予想PER | PBR | 配当利回り |
|---|---|---|---|---|
| NTT9432 | 約13.0兆円 | 約12倍 | 約1.2倍 | 約3.7% |
| KDDI9433 | 約11兆円 | 約14倍 | 約1.8倍 | 約3.0% |
| ソフトバンク9434 | 約10兆円 | 約16倍 | 約4倍 | 約3.7% |
NTTは時価総額が最大でPBR・PERは最も控えめ。「いちばん大きくて、いちばん割安寄り」というのが、ざっくりした立ち位置です(数字は概算)。
評価は「中立」がやや優勢。
アナリストは1年後の目標株価と投資判断を出します。NTTは利益の伸び悩みを反映してか、強気と中立が入り混じる評価です。
投資判断(レーティング)の内訳
コンセンサスは「中立〜やや買い」。★★★☆☆ 前後。
※ おおむね「強気5:中立6:弱気1」程度の構成(集計元・時点で変動)。決算後に一部が目標株価を引き下げました。
目標株価(1年後予想)
平均目標株価はおよそ155〜165円で、直近株価(約144円)よりやや上。一方で「利益が伸びないと上値も重い」という慎重な見方も根強くあります。
市場の関心はシンプルです——「ドコモの利益が底打ちし、グローバルとIOWNが利益を押し上げられるか」。配当は安心でも、株価が上がるには“成長の証明”が要ります。
出所:みんかぶ・各証券レーティング報道等(2026年6月時点の概算)。目標株価・判断は各社・時点で異なります。
指数にも高配当投信にも、ほぼ必ず入る。
時価総額が国内トップ級なので、日本株のインデックスにはほぼ確実に組み入れられます。高配当・NISA向けの投信でも定番です。
パッシブインデックス投信・ETF
指数に採用 → 連動ファンドが自動的に保有
- 日経平均株価(225)値がさ調整後も主要構成銘柄。日経225連動のETF・投信が保有。
- TOPIX(東証株価指数)時価総額が大きいため上位構成。TOPIX連動型の定番。
- JPX日経インデックス400ROE・ガバナンス等で選ぶ“質”の指数にも採用。
時価総額が大きいほど、インデックスの中での比率も大きくなります。NTTは日本株インデックスの「重し」の一つ。指数が動けばNTTも動く、という関係です。
アクティブ高配当・NISA向けファンド
高配当・大型・安定を狙う投信の定番
- 高配当株ファンド利回り約3.7%・大型で安定。日本の高配当株ファンドの王道的な組入候補。
- 連続増配・累進配当系増配を続ける銘柄を集める投信で評価されやすい。
- NISA向け・国民的銘柄1株約150円で買いやすく、新NISAの個人マネーの受け皿に。
出所:各指数の構成銘柄、運用会社の交付目論見書・マンスリーレポート等。保有比率は時点で変動します。
国内では「みんなが持つ安心株」。
海外では「成長の鈍さ」を見る。
NTTは国内の個人にとって“はじめての株”の定番。一方、海外の機関投資家は利益の伸び悩みを冷静に見ています。両者の目線を並べます。
国内の個人投資家
- +株主数は国内トップ級(約316万人)。株式分割で1株150円になり、新NISAの個人マネーが大量に流入。
- +連続増配・大企業の安心感。「はじめての1株」「長期で持つ高配当株」として絶大な人気。
- ±値動きは小さめ。大きく増えはしないが、大きく減りにくい。退屈だが安心、という評価。
- -ここ1〜2年は株価がじり安。「買ったのに下がった」という個人の声もあり、利益の伸びが課題。
海外の機関投資家
- +巨大で潰れない安定感と高い配当。ディフェンシブな日本株として一定の組入れ対象。
- +グローバル事業の成長とIOWN・データセンターの将来性は注目材料。
- -本業ドコモの利益の伸び悩みと料金規制を警戒。「成長が見えにくい」と割安に置かれがち。
- ±政府が約1/3を保有(NTT法)。安定要因だが、規制・公共性が経営の自由度を縛る面も。
株主の内訳(概算イメージ)
最大の特徴は政府がNTT法で約1/3以上を保有すること、そして個人株主が国内最多級であること。「国の会社」と「みんなの会社」の両面を持ちます。
財務と効率の素顔
巨大インフラを支える「重い」バランスシート(26.3期・概算)。
- ROE(自己資本利益率)約10.7%
- 営業利益率約12%
- 自己資本比率約20.8%
- 純利益(株主帰属)約1.04兆円
- 営業収益14.4兆円
ROEは10%台で堅調。一方で自己資本比率は約21%と低め——巨大な設備と、今期から加わった銀行(住信SBI)が影響しています。設備投資の重さは通信会社の宿命です。
出所:NTT 有価証券報告書・IR資料、各金融情報サイト。株主構成・株主数は概算で、最新の開示をご確認ください。
株式を25分割して、「みんなの株」になった。
NTTを語るうえで外せないのが、連続増配と2023年の株式分割。利益が派手に伸びなくても、配当を着実に増やし、買いやすくして個人を呼び込みました。これがNTTの“顔”です。
2023年7月、NTTは1株を25株に分割。それまで1株4,000円近かった株が、約150円で買えるようになりました。新NISAの追い風もあり、個人株主は一気に増えて国内トップ級に。
さらにNTTは長年にわたって配当を増やし続けてきました(連続増配)。1株配当は分割後の基準で着実に上向き、27.3期も増配を見込みます。利益が足踏みしても還元は止めない——この姿勢が「安心して持てる株」という評価をつくっています。
メリット“国民株”の強み
- 買いやすさ:1株約150円で、少額・NISAで気軽に持てる。投資の入り口になりやすい。
- 連続増配:配当を着実に増やす方針で、長期保有の安心感が大きい。
- 分厚い個人株主:約316万人の個人が支え、株価の下値が比較的固い。
- ディフェンシブ:通信は生活インフラ。景気が悪くても収益が崩れにくい。
留意点“国民株”ゆえの宿題
- 利益の伸び悩み:還元は厚いが、肝心の利益が足踏み。株価が上がりにくい。
- 規制・公共性:政府保有とNTT法、料金への目線など、経営の自由度に制約。
- 低い自己資本比率:巨大投資と銀行連結で財務は“重い”。金利上昇に弱い面。
- 期待先行のリスク:IOWN・データセンターは将来性だが、回収まで時間がかかる。
各社には“顔”がある
INPEXの黄金株、JTの政府保有、三菱商事のバフェット、MUFGのモルガン・スタンレーのように、各社にはその会社を象徴する“顔”があります。NTTの顔は、連続増配と株式分割で「個人にいちばん開かれた株」になったこと。成長の派手さではなく、安定と裾野の広さで存在感を示すタイプです。
AI・電力・金利・規制。
大きな波は、NTTにどう効くか。
通信インフラの巨人だけに、世界のテーマが様々な経路で効いてきます。追い風と逆風を整理します。
AI・データセンター
追い風/成長の本命生成AIでデータセンター需要が急増。NTTは世界有数のデータセンター事業者で、グローバル成長の柱。
光技術IOWNで「電力を食わない高速通信」を狙う。AI時代の電力・通信ボトルネックを解く一手として期待。
金利
逆風巨大な設備投資を借入や社債でまかなうため、金利上昇は調達コスト増の逆風。自己資本比率も低め。
日銀の正常化が進むほど、利払い負担に注意が必要です。
通信料金・規制
逆風(公共性)携帯料金の引き下げ圧力や乗り換え促進は、ドコモの利益に逆風。
政府保有・NTT法のもと、公共性と収益のバランスを常に問われます。
デジタル化・人口減
両面社会のDX・キャッシュレス・スマートシティは追い風。生活のあらゆる場面に通信が入り込みます。
一方、国内人口減は固定回線や国内市場の縮小要因。だからこそ海外(グローバル)が重要に。
出所:各種報道・会社資料等(2026年6月時点)。マクロの影響は不確実性が高く、方向感を示すものです。
「電話会社」から「情報インフラ会社」へ。
NTTが描く長期の方向性です。近い将来は会社の計画、20年後は公表目標のない見立てとして、区別して読んでください。
- 営業収益14.4兆円(過去最高)
- 純利益は約1.04兆円で足踏み
- 連続増配・国民株として個人に浸透
- グローバル・データセンターを利益の柱に育てる
- IOWNの商用化を本格化
- ドコモの料金・コスト構造を立て直す
- 「電話」よりデータ・AI・電力を運ぶ会社へ
- IOWNで省電力の次世代通信網を世界へ
- 安定配当を続けながら成長投資を回収
- IOWNが普及すれば世界の通信基盤の一角に
- 国内は人口減、成長は海外とデジタル基盤次第
- リスク:投資が実らず“高配当だが伸びない巨人”のまま
近い将来は会社の方向性に沿っていますが、達成は環境次第で保証されません。20年後は不確実性が大きく、ここでの記述は一つのシナリオです。
連続増配+自社株買い。還元はNTTの“軸”。
NTTは利益が足踏みしても、配当を着実に増やしてきました。自社株買いも組み合わせ、株主還元を経営の中心に据えています。
1株配当は分割後の基準で4.6円→4.8円→5.1円→5.2円→5.3円→5.4円(予)と、毎年のように増えてきました。利益が伸び悩んだ年も減配せず増配を続けたのがNTTの特徴です。
あわせて2,000億円規模の自社株買い枠を設定。発行済株式を減らしてEPS(1株利益)を支え、配当と合わせた総還元を厚くする狙いです。
※ 配当・自社株買いは会社の方針で、将来変わる可能性があります。連続増配は「過去の実績」であり、今後を保証するものではありません。
出所:NTT 2026年3月期 決算短信・配当方針(2026/5/8)。配当性向・利回りは予想EPS・株価からの概算です。
安定株にも、見ておくべき4つの論点。
ディフェンシブで安心と言われるNTTにも、弱点はあります。良い面だけでなく、ここを併せて見るのが大切です。
利益成長の鈍化
売上は伸びても純利益は足踏み。本業ドコモが料金競争で伸び悩み、27.3期は減益見通し。配当は安心でも、株価の上値は重くなりがち。
低い自己資本比率と金利
巨大な設備投資を借入で支え、銀行(住信SBI)も連結。自己資本比率は約21%と低め。金利が上がると利払い負担が増える。
規制・公共性のしばり
政府が約1/3を保有(NTT法)。携帯料金の引き下げ圧力や公共性への配慮など、純粋な利益追求がしにくい面がある。
大型投資の回収リスク
IOWNやデータセンターへの先行投資は将来性がある一方、回収に時間がかかる。普及が遅れれば“種まきだけ”に終わるリスクも。
NTTは「成長株」ではなく「安定配当株」として見るのが素直です。大きく増やすより、減らさず配当を受け取る——その性格を理解して持つのが近道です。
このページの要点。
正体:NTTは日本最大の通信グループ。ドコモ(総合ICT)を柱に、海外IT(グローバル)・地域通信・データセンターまで。電話会社から“情報インフラ会社”へ作り替え中。
決算:26.3期は営業収益14.4兆円と過去最高だが、純利益は約1.04兆円で足踏み。27.3期は減益見通しで、利益の伸びは一服している。
指標:PER約12倍・PBR約1.2倍・利回り約3.7%。市場平均よりやや割安で、配当の厚みが魅力。1倍割れからの再評価型ではなく“適正圏の高配当株”。
評判:2023年の株式分割(25分割)と連続増配で、個人株主は約316万人と国内トップ級。政府がNTT法で約1/3を保有する「国の会社」でもある。
未来:成長の鍵はグローバル・データセンター・IOWN。還元(連続増配+自社株買い)は厚いが、株価が上がるには“利益成長の証明”が要る。